コンクリートに入ったひび割れの幅と深さを測り、その分布を図にまとめる調査です。
ひび割れは最も目につく変状ですが、幅だけを見ても原因は分かりません。深さと分布まで押さえて、はじめて判断ができます。
ひび割れが問題になるのは、そこから水と空気、場合によっては塩分が入り込み、中の鉄筋を錆びさせるからです。幅が広いほど入りやすく、深いほど鉄筋に届きやすい。つまり危険度は幅と深さの組み合わせで決まります。
幅0.2mmでも鉄筋まで達していれば対処が要りますし、幅0.5mmでも表層だけで止まっていれば急ぎません。幅だけで補修の要否を決めると、判断を誤ります。
さらに、ひび割れの向きと分布は原因を教えてくれます。乾燥収縮、温度応力、アルカリシリカ反応、鉄筋の腐食、荷重による曲げやせん断。どれも出方が違います。

クラックスケール(目盛りの入った透明な定規)をひび割れに当て、目盛りと照らし合わせて幅を読みます。0.05mm 刻みのものを使うのが一般的です。
同じひび割れでも場所によって幅は変わるので、最大幅の位置を探して記録します。測った位置はチョークやマーキングで残し、写真にスケールを写し込みます。あとから同じ場所を測り直して、進行しているかどうかを比べるためです。
高所や水面上など、近づけない場所ではクラックスコープや、ドローンで撮影した画像から測る方法もあります。
深さは壊さずに測れます。ひび割れをはさんで2つのセンサーを当て、超音波がひび割れを回り込んで伝わる時間から深さを逆算します。方法は2つあります。

直接回折波法
送受信センサーをひび割れから等距離に当てます。センサー間隔を広げていくと、ある位置で計測器が反応します。ひび割れからセンサーまでの距離が、ひび割れ深さと同じになった点です。そこから深さを求めます。
修正BS法
センサーをひび割れから等間隔に当て、その間隔を2段階に変えます。それぞれの伝播時間の差から、関係式で深さを算出します。センサーを置ける範囲が狭い場合や、直接回折波法で反応点が取りにくい場合に用います。
どちらも衝撃弾性波法・超音波法(NDIS 2426/NDIS 2426-1)の原理によります。ひび割れの中に水や土砂が詰まっていると超音波が伝わってしまい、実際より浅く出ることがあります。測る前にひび割れの状態を確かめます。
| 方法 | 分かること | 構造物への影響 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| ひび割れ幅測定 | 最大幅・進行の有無 | 無し | すべての調査の基本。定点で繰り返し測る |
| 直接回折波法 | 深さ | 無し | センサーを広く置ける平らな面 |
| 修正BS法 | 深さ | 無し | 置ける範囲が狭いとき |
| コア採取 | 深さの実測・内部の状態 | 大きい | 非破壊の結果を確かめるとき |
非破壊で全体を測り、代表点でコアを採って確かめる組み合わせが確実です。コアを割れば、ひび割れが実際どこまで入っているかが目で見えます。
測った結果は、部材の展開図にひび割れを書き込んだひび割れ図としてまとめます。幅ごとに線の太さや色を変え、長さと位置を記録します。
これを数年おきに作り続けると、どのひび割れが伸びているかが一目で分かります。当社では、3Dモデルの部材面にひび割れと調査写真を貼り込む形でもお渡しできます(橋梁・トンネルの3Dモデル)。
外観調査・打音調査(NDIS 3418)や赤外線サーモグラフィ法(NDIS 3428)と組み合わせると、ひび割れの周りに浮きや剥離が生じていないかも同時に押さえられます。
この調査で用いる規格
測定点の数と、足場や高所作業車の要否で費用と期間が決まります。ひび割れが写っている写真を何枚かいただけると、調査方法と工程の見当がつけやすくなります。
調査から報告書の作成、補修に向けた提案まで、有資格者が一貫して対応します。有資格者の一覧もご覧ください。