コンクリートの中にある鉄筋が、どの範囲でどの程度錆びているかを調べる調査です。
表面にひび割れが出る前の段階でも、電気的な方法でかぶりの中の状態を推定できます。
健全なコンクリートは強いアルカリ性で、鉄筋の表面には不動態皮膜という薄い膜ができています。この膜がある限り鉄筋は錆びません。ところが、中性化がかぶり部分まで進んだり、塩化物イオンが一定量を超えて侵入したりすると、この膜が壊れて腐食が始まります。
錆びた鉄筋は体積が2倍以上に膨らみます。膨らんだ鉄筋は周囲のコンクリートを内側から押し広げ、鉄筋に沿ったひび割れ・浮き・剥離・剥落を起こします。さらに進むと鉄筋そのものの断面が減り、部材の耐力が落ちます。
外から見えるようになった時点では、すでにかなり進んでいます。表面に変状が出る前に、中の状態を把握することに意味があります。

鉄筋が錆びるとき、鉄筋の表面では電子のやりとり(電気化学的な反応)が起きています。この反応の強さは電位の違いとして現れます。コンクリート表面に照合電極を当て、鉄筋との間の電位差を測るのが自然電位法です。
電極を格子状に動かして面的に測り、等電位線図として描きます。周囲よりも電位が卑(マイナス側)に偏っている範囲が、腐食が進んでいる可能性の高い場所です。
電位の絶対値だけで腐食の有無を断定することはしません。かぶり厚さ・含水状態・温度・塩分量によって電位は動くため、同じ構造物の中での分布と、他の調査結果を併せて判断します。判定は JSCE-E 601 および ASTM C 876 に示された区分に照らして行います。

コンクリート表面に電極を設置し、そこから鉄筋へ微弱な電流を流して「分極抵抗」を測ります。分極抵抗の大きさから腐食の速度を推定します。
自然電位法が「腐食している可能性の高さ」を見るのに対し、分極抵抗法は「どれくらいの速さで進んでいるか」を見ます。補修までの猶予がどれだけあるかを見積もるのに使います。
自然電位法で怪しい範囲を絞り込み、その範囲で分極抵抗法を行う、という進め方が効率的です。
電気的な方法はあくまで推定です。確かめるには、かぶりコンクリートをはつって鉄筋を露出させ、目で見て腐食の程度を判定します。錆の付き方、浮き錆の量、断面がどれだけ減っているかを記録し、必要に応じて残存径を測ります。
はつり出した面では、中性化深さの測定も同時にできます。中性化深さ測定の解説もご覧ください。はつり箇所は限られるため、非破壊で範囲を絞り、代表点だけをはつって確かめるのが基本です。
| 方法 | 分かること | 構造物への影響 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 自然電位法 | 腐食している可能性の高い範囲 | ほぼ無し | 広い面を面的に調べ、怪しい箇所を絞り込むとき |
| 分極抵抗法 | 腐食の進む速さ | 小さい | 補修の時期を見積もるとき |
| はつり法 | 実際の腐食の程度・断面欠損 | 大きい | 推定結果を確かめるとき、腐食グレードを判定するとき |
腐食があることが分かったら、なぜ錆びたのかを切り分けます。原因によって補修の方法が変わるためです。
当社では、現地の電気的調査から試料採取、試験室での塩化物イオン濃度測定(JIS A 1154)まで社内で行っています。
この調査で用いる規格
測定点の数と、はつり箇所の数で費用と期間が決まります。すでにひび割れや錆汁が出ている場合は、その位置と範囲が分かる写真をいただけると、調査計画が立てやすくなります。
調査から報告書の作成、補修に向けた提案まで、有資格者が一貫して対応します。有資格者の一覧もご覧ください。